2017年7月26日水曜日

旬探訪 越後のごっつぉ 〈 夏のスタミナ食 〉


長岡の夏の定番「くじら汁」。
熱々をお召し上がりください。

豪雪地で知られる長岡の夏は実に手強い。山に囲まれた盆地なので冬は寒く、夏は蒸し暑い。
このような気候環境の長岡で真夏に食される定番料理が『くじら汁』です。
塩鯨の脂身と茄子をはじめとした夏野菜、それに長岡伝統野菜『夕顔(ゆうがお)』(地元の人々は長岡弁がなまって『ゆうごう』と呼んでいます。)が入った熱々の汁です。
首にタオルを巻いて汗を噴き出しながら、椀をすするのが長岡流、あっちぇ夏こそ熱々のくじら汁!この昭和感がたまりません。
さて、新潟県民のソウルフードでもある『くじら汁』には夏バテ防止と疲労回復の効果があるそうです。
年中暑いインドや東南アジアで、辛い料理を食べるのは、一時的に体温を上昇させ、発汗作用を促し、結果的に体温を下げるという理にかなった食習慣です。
長岡で『くじら汁』が食べられた起源は不明ですが、佐渡や寺泊など県内各地には鯨塚が残ります。
また、幕末の桑名藩士の出張日記ともいうべき『柏崎日記』にも『くじら汁』の献立が記されています。
日本史に鯨料理が登場するのは室町時代で、仏教の影響で、獣食が禁じられていた当時は、魚とみなされた鯨は貴重なタンパク源でした。
江戸時代には、水軍から派生した捕鯨のプロ集団が各地に出現し、庶民にも広く食べられていたことがうかがえます。
現在でも、北海道の道南地方では正月に食べるために作るハレの料理として、福島県会津は新潟と同じ文化で夏の暑い時に、山形では、じゃが芋が不可欠で、新じゃが芋が出来る頃から真夏にかけて作ります。

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